一人ですべてを背負う歯科医院 がコンスタントにアクセスされる。ユーザは判別できない。数年前までなかった現象。歯科医院の「経営」に関心が高まっている?
「歯科医といえば高収入」。そのようなイメージを持っている人も多いだろう。かつては開業歯科医の年収は2000~3000万円とも言われ、愛車はメルセデス・ベンツと相場は決まっていた。しかし現在は事情が変わってきている。それというのも歯科医師の数が増えすぎて、供給過多になっているのだ。
via: livedoor ニュース – 高収入の代名詞「歯科医院」が1日1軒ペースで廃業 泣きたくなるほどきびしい状況はなぜ起きたのか
「年収2,000-3,000万円」の「年収」は”売上” か”所得”のどちらか。前者ならベンツに乗れない。重箱の隅を楊枝でほじくりましたが、話はさておき、供給過多は事実。特に首都圏は顕著。ぼくが5年ほど前にフリーランスになったとき、歯科関連の雑誌に「居抜き」が掲載されていた。首都圏の話だった。その話を歯科医院の先生から伺ったとき、関西もいずれそうなるかと評価した。
歯科医の診療報酬はほとんどが保険点数で料金が規定されており、保険のきかない自費診療の分野も医院間で大きく差をつけるわけにもいかない。そのような中、競争激化により治療技術やサービスで他院との差別化に遅れ、廃業する歯科医院が後を立たない。
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前提が2つ間違っている。まず、「自費診療の分野も医院間で大きく差をつけるわけにもいかない」はおかしい。医院は自ら価格を決定できる。ただ、9割以上の医院が価格を最適化しないから、外部から観察したとき、違いを認識できないだけだ。ぼくが以前関わっていた歯科医院は、一口腔単位の価格がサラリーマンの平均年収を軽く上回っていた。
次に「競争激化により治療技術やサービスで他院との差別化に遅れ」ではなく、そもそも医院は差別化を知らない。「差別化」を理解して、かつ、それらの事例や概念を検討したうえで実践しているなら、「遅れ」という表現は適切であるが、歯科医院はそれにあてはまらない。これは、歯科医院を批判しているのではない。医療の属性を外部が認識しなければならない。
とくに都市部は競争が激しく、東京23区内では歯科医院の数がコンビニの2倍となる超過剰状態に陥っている。東京歯科保険医協会によると2007年度には350施設は廃院したとみられているおり、競争激化にともない東京都内の保険歯科医院が、1日1施設のペースで廃業していることが明らかとなった。
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1日1件のペースで廃業する歯科医院。廃業の背景を分析しないと、ただ数字に驚きうろたえるだけ。開業何年目の歯科医院が廃業しているのか? もし、40年近くの歯科医院が半数を占めていたら、1日1件ペースの表現は、「経営」的には適正ではないと思う。反対に、10年以内の歯科医院が多くを占めるなら深刻。
ただしすべての歯医者が経営危機に陥っているわけではない。業界にはもちろん勝ち組が存在する。自費診療のインプラント(人工歯)をいち早く導入し集客に力を入れているところや、最新の機材を投入し医療技術に優れるスタッフを持つ歯科医院などだ。だが下手をすればインプラントは医療訴訟のトラブルにつながったり、機材に多額の投資をしたところで計画通りに集客できなければすぐに経営難に陥ってしまう。すでに歯科医の資格だけでは安定した収入を得るのは難しく、医者には技術力と経営力が問われている。
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この結論もテンプレート化されていて、歯科医院の「中の人」は参考にできない。もう「技術力」は問われる段階じゃない。あたりまえになった。技術力のない歯科医院は退場を迫られる。技術力のない歯科医院が存続してきた枠組みを医療技術自体の進歩が破壊した。これを「サービス」として評価すると、引用のテンプレート化された結論へ落ち着いてしまう。
歯科業界を観察して、ひとつ気づいた。技術力と経営力ではコントロールできない要素がある。設備投資。歯科業界の業者はパイが縮小していくのを痛感しているはずなのに、事業のダウンサイジングを考えない。いまだに歯科の先生へ強気に値付けする。先生は技工へ支払うより設備投資へ資金を配分する。設備投資を否定しない。ただ、資金配分を少し変えたほうがよい思う。資金配分を変えるならネゴシエートしなければいけない。
ネゴシエートの対象は業者だけじゃない。歯科医院の技術力を患者は評価できない。技術力を評価できない患者と同様、先生は「言葉にできない患者の心象」を評価できない。両者の凸凹を平らにするのは技術力でも経営力でもない(と書くと、技術も経営も否定するのかと読まれると困りますが…..)。